介護保険制度の運営費は公費と保険料とで折半し賄われている
介護保険の財源として賄われているお金の使い道は次の3点が主です。
- 介護保険からの給付費。
- 市町村個別の福祉事業費。
- 介護保険の事業運営に要する事務経費。
介護保険制度を円滑に運営維持するためには、莫大な財源が必要になりますが、介護保険法では国、地方公共団体、被保険者で負担する財源の割合を調整し捻出することと定められています。
介護保険の財源の内訳は、税金で徴収する公費が50%、保険加入者から徴収する保険料が50%と、負担割合は半々です。
公費50%の内訳は、国と地方自治体(都道府県・市町村)が半々の割合で負担しており、
保険料50%の内訳は、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40〜64歳)の人口比率を基に負担割合が決められ、保険料の負担比率は一定ではなく見直が行われます。
ちなみに、2016年〜2017年に関しては、国が25%、都道府県と市町村が12.5%ずつ負担し、第1号被保険者が22%、第2号被保険者が28%となっています。
介護保険の財源確保に税金が投入されているのは、介護は全国民の生活に大きく影響する社会的課題で、これをクリアするには公的な責任が伴うということと、全財源を保険料のみで確保すると重い負担が国民にのしかかるからです。
介護保険から給付される費用の12.5%は市町村が支払っていることになりますが、この費用は介護給付と予防給付に関しての総費用で、各市町村が個別に行っている介護・福祉事業などの給付金額は、この12.5%には入っていません。
また、介護給付と予防給付以外の介護事業運営に必要となる次のような費用は市町村行政の一般財源から賄われます。
- 要介護認定に伴う費用
- 介護保険を管理運営するのに要する事務的費用
市町村における介護保険に関する財源の収支管理は、一般会計とは別枠で介護保険特別会計として扱われます。
介護保険の財源負担比率
2017年度末までの公費・保険料の負担割合は下記の通りです。
公費(税金)- 25.0%:国
- 12.5%:都道府県
- 12.5%:市町村
- 21.0%:第1号被保険者
- 29.0%:第2号被保険者
調整交付金の役割と仕組み
市町村が給付費負担する12.5%は、全国一律でどの地域でも同じ比率ですが、各市町村の年齢別人口分布や住民数、所得には大きな差があります。
なので、75歳以上の後期高齢者の人数が多い地域は介護給付の出費額が増加し、低所得者の人数が多い地域は、保険料率が高くなり負担が増加します。
このような不均衡による不公平な問題を解消するために調整交付金という仕組みが用意されています。
具体的には、国が介護保険給付の全財源の内25%交付していますが、20%は市町村へ定率で支給され、5%は各市町村財政の格差調整を行い支給されます。
この5%が調整交付金に当たり、市町村間で生じる財政力格差を埋めるための国による支援政策の一つと言えます。
財政安定化基金の役割と仕組み
市町村間の財政力格差は先ほどの調整交付金で緩和されますが、介護保険の運営主体である市町村では、これ以外に次のような問題が起こる可能性もあります。
- 被保険者から徴収する保険料の未納により財源が不足する。
- 介護保険事業計画の見込みを大きく超える介護給付費が必要となり財政赤字となる。
このような異常事態を回避し、市町村の介護保険財政に悪影響を与えないようにする目的で、財政安定化基金を都道府県に設置し、事業として下記支援を提供しています。
- 保険料未納による財源不足となった費用の半額を支給する。
- 介護給付費アップで生じた赤字相当額を融資する。
市町村は、財政安定化基金からお金を貸りた場合は、次期3年間の介護保険事業計画の実施期間中に分割して返済していきます。
なお、基金の財源は、国、都道府県、市町村で3分割して賄われます。
市町村相互財政安定化事業とは
さらに、規模が小さく財政力が弱い市町村では、安定した介護保険の財源確保は難しく、住民が不利益を被る可能性もあるため、下記事項を目的とした「市町村相互財政安定化事業」を実施します。
- 複数の市町村がまとまり財政規模を拡大する。
- 各市町村の保険料率の均衡化を図る。
- 各市町村間で財政調整する。
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