介護保険事業における国と地方自治体との役割分担

介護保険制度の運用基準は国が決定する

 介護保険制度全般の運用については国が規定や基準を決定し、円滑に介護サービスを提供できるよう仕組みを整備し、サービス内容を充実させることを目的として「基本指針」を策定します。

この指針に基づいて市町村と都道府県では、それぞれ介護事業計画の策定を行う必要があります。

 国が基本指針で示している内容は以下の通りです。

  1. 介護サービスの質を保ちながら迅速円滑に利用者へ提供できるようにするための仕組みや体制を確実にする。
  2. 地域支援事業の運営に係わる基本的な取り決め事項の決定。(在宅介護に重点を置いた体制、個々の介護ニーズの実態把握、都道府県が規定して区域の設定、介護サービスの運営実施体制と職員の確保)
  3. 介護保険事業計画を市町村が策定するための判断基準となる事項を決定。(現在の状況と改善・整備目標及び達成時期、介護ニーズの把握)
  4. 介護保険給付を安定的・スムーズに行えるようにするための方策を決定。

都道府県が策定する介護事業計画とは

 国の基本指針を受けて都道府県は3年毎に「介護保険事業支援計画」を策定し、下記事項を規定し、さらに市町村介護保険事業計画についてもアドバイスを実施していきます。

  1. 介護保険に関わる入所施設の種類別に受け入れ可能定員数、介護サービス量の予測を年度ごとに決定。
  2. 介護保険法で定める施設の居住環境の改善。
  3. 介護サービス関連の情報公開。
  4. 介護支援専門員や介護職員の確保。
  5. 介護施設・事業者間の連携確保。
  6. 介護保険給付を安定的・スムーズに行えるようにするための支援策。

市町村が策定する介護事業計画とは

 国の基本指針を受けて市町村は3年毎に「介護保険事業計画」を策定します。

介護保険制度上においては、市町村は保険者の立場になり、介護サービス事業の運営主体に位置づけられます。

よって、市町村内の保険加入者数、要介護者数の実数把握を行い、今後提供すべき介護サービスの種類と供給量を推測し、不測の事態にならないよう事前に確保しておくことが求められます。

介護保険事業計画では、これらを勘案して事業計画の立案作成を行います。

2017年度の介護保険事業計画は、2015〜2017年度の第6期最終年度になり、立案された計画に基づいて各地方自治体が事業運営し介護サービスの提供が行われており、2018年度からは第7期がスタートします。

 介護保険事業計画を策定する際は、都道府県や保険者加入者からの助言や声に耳を傾け参考にする必要があります。

また、老人福祉および老人保健の計画と合致し、地域福祉計画とも整合性が見いだせるような事業計画として策定することが求められます。

介護保険事業計画での規定内容

  1. 年度ごとに認知症対応型共同及び地域密着型特定施設入居者の生活介護サービス等の受入定員数、介護サービス種類毎の必要見込み量の予測と達成するための施策
  2. 地域支援事業の総費用と量の必要見込み量の予測と達成するための施策
  3. 介護給付・予防給付を安定的スムーズに提供できるようにするため、指定居宅及び地域密着型のサービス事業に携わる事業者同士の連携を促進するための施策
  4. 介護保険給付を円滑に履行するための各種施策

市町村介護保険事業計画の策定プロセス

1. 市町村介護保険事業計画作成委員会での検討

 市町村介護保険事業計画作成委員会では、学識経験者、保健・医療・福祉関係者、被保険者、費用負担関係者などの助言や意見を反映しながら次の3点について検討します。

  • 介護サービスの提供量と内容の調査
  • 要介護者についての現状調査
  • 被保険者の現状と将来
2. 各項目についての調査・算出・対策

 介護サービスの量と内容の調査については、種類や量を確保するための具体策を決定し、要介護者の実態調査及び被保険者の現状と将来については、サービスの利用意向やニーズの調査を実施し、年度毎にサービス種類ごとに必要と推測される量を算出します。

3. 事業内容の決定と計画策定

 介護サービスを円滑に提供できるようにするための事業内容を決定し、介護保険事業計画に落とし込み策定を行います。

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