要介護度の1次判定と介護認定審査会による2次判定

 要介護認定の判定基準2段階方式で、「介護の手間」と「状態の維持・改善の可能性」という2つの観点から審査が行われます。

要介護認定の1次判定の基準と内容

要介護認定の1次判定は、どれだけ介護の手間が必要になるかという観点で判定が行われますが、 この時点では仮判定になるため、申請者に結果がどうなったかの通知を行うことはありません。

審査方法は、申請者宅への訪問実態調査の際に使用し作成された認定調査票の記入内容をコンピュータ入力し、介護にどのくらいの時間が必要になるか要介護認定等基準時間を推定算出します。

認定調査票の基本調査を参考にして、下記の5種類の介護内容別に1日に要する介護時間を割りだし合算します。

5種類の介護内容とは

  介護項目 行為
直接生活介助 身体に直に触れ実施する食事・排せつ・入浴などの介護
間接生活介助 衣類などの洗濯や物干し、生活スペースや居室などの清掃やゴミ捨て、日用品の整理など、日常生活に係わる世話や家事援助
問題行動関連行為 認知症による徘徊に対する探索、不潔行為に対する処置などの対応
機能訓練関連行為 嚥下や歩行に関する補助、生活に要する身体機能の訓練
医療関連行偽 輸液や呼吸の管理、褥瘡・喀痰吸引・経管栄養の処置など診療に関する補助

樹形モデルとは

 コンピューターによる要介護認定等基準時間を算出する場合は、認定調査票の各項目別に選択項目を設定し、調査内容に基づいて高齢者の状態がモデルデータと近いものを割りだし、推算する樹形モデルという仕組みで判定されます。

要介護度の仮判定の基準

 5種類の介護内容別に要介護認定等基準時間が算出されると、その総計時間により下記表の基準に基づき要介護状態が仮判定されます。

但し、要介護1と推定される場合は、2次審査でさらに詳しく検討され、要介護1と要支2に区分されます。

要介護認定等基準時問は、介護の必要性の有無を検討するための判断材料として使用されているものなので、現実の介護で必要な時間とイコールではありません。

要介護認定等基準時間に基づく要支援・介護状態区分の基準

要介護状態 要介護認定等基準時間
非該当 25分未満
要支援1 25分以上32分未満
要支援2 32分以上50分未満
要介護1 同上
要介護2 50分以上70分未満
要介護3 70分以上90分未満
要介護4 90分以上110分未満
要介護5 110分以上
上表引用元:
厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」より

要介護認定の2次判定の基準と内容

要介護認定の2次判定は、現在の状態の維持できるか、さらに状態を改善できる可能性はあるかという観点で判定が行われ、申請者には結果通知が行われます。

ステップ1:介護認定審査会による審査判断

 1次審査の判断結果と主治医意見書を市町村は介護認定審査会に伝達し、下記事項に関して判定を仰ぎます。

  • 第1号被保険者:
    要介護・支援の状態に当てはまるか、当てはまる場合は、その要介護度。
  • 第2号被保険者:
    特定疾病が原因となり介護を要する状態になったのか。

各市町村が介護認定審査会に審査の依頼を行いますが、全国統一基準に基づき判断され、判定を行う場合には必要に応じて申請者やその家族、担当医などに意見を求めることが可能です。

ステップ2:審査結果を市町村に通知

 介護認定審査会で結果が出れば、市町村に伝達され、下記のような内容について介護認定審査会の意見として付け加えることも認められています。

  1. 要介護度を改善したり、今以上に状態が悪くならないようにするための療養内容について

    リハビリを要すると記載されていれば、市町村の判断で介護サービスを決定することが可能になり、利用者が他のサービスを利用した場合は介護保険の給付対象外になります。

  2. 利用者にとって適切で効果的なサービスを活用するために配慮する内容について

    記載された内容については、介護施設側も配慮を要することになります。

介護認定審査会ってどんな機関?

 市町村の管轄団体として介護認定審査会は位置づけられます。

任命されるメンバーは、医療・福祉・保健分野の学識や専門知識を有した者で、各分野から均等に選出されたメンバー構成となっています。

要介護認定の申請者宅への訪問調査及び認定通知は必ず各自治体が実施する必要がありますが、審査について市町村独自で審査を実施できない場合は、次のようなパターンでの審査が行われます。

  • 他市町村に業務委託する。
  • いくつかの市町村が広域連合や一部事務組合を設置し共同で行う。
  • 都道府県に業務委託する。

介護認定審査会メンバーの構成

 市町村の自治体長が任命し地方公務員で非常勤特別職になります。

構成するメンバーの定員数は、政令による規定に従い市町村議会で条例として規定します。

なので、要介護者の被保険者数は各自治体により異なるため、その人数に見合った必要人員数が任命されることになります。

介護認定審査会委員の構成や議決方法は、次のようになっています。

  1. 委員同士の選出で委員長を1名決定する。
  2. 全委員数は5人を原則とするが、市町村は被保険者数に応じて条例で人数を規定することができる。
  3. 審議を開いたり結論を出す場合は、過半数のメンバーが参席する必要がある。
  4. 審議結果の結論を出す場合は、出席メンバーの過半数で決定し、賛否が同じである時は委員長が結論を出す。

介護認定審査会メンバーの任期

 メンバーの任期は2年間となっており、再任も認められています。

また、都道府県主宰の介護認定審査会委員研修の受講修了と業務に関する守秘義務が法的に適用されます。

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