地域包括支援センターの役割|介護保険制度

地域包括支援センターの役割とは

 2006年当時の改正介護保険制度の理念では、「誰もが住み慣れた場所で自分らしい生活を送れることを目指す」という狙いがありました。

高齢者が認知症であっても、一人暮らしであっても、孤独感・不安感を抱くことなく、長年住み慣れた地域・自宅で生活できることは誰もが希望することだといえるでしょう。

このことを具体的に実現するために、市区町村が主体となって地域の特徴をいかし現状に合致した地域密着型の介護サービスが提供されています。

 介護保険では、医療と介護が切れ目無く提供される「地域包括ケア」といった概念が大きく注目され、社会保障と税の一体改革では介護分野の大きな柱としていくことが打ち出されています。

たとえ、要介護が必要な状況に陥った高齢者でも、住み慣れた地元・自宅で適切な医療・介護サービスを受けながら、在宅で自立した生活を送れるように包括的に継続できる介護サービス体制を構築していこうというのが主な目的です。

地域包括支援センターの運営主体・職員構成

 このような体制を運営・維持するために、地域包括支援センターは設置されていますが、各地域によって運営母体は異なり、社会福祉法人や医療法人などが運営する在宅介護支援センター、市区町村などが主体となります。

 主任ケアマネジャー、社会福祉士、保健師又は看護師の計3名で職員は構成され、下記の役割を担います。

  • 医療・介護支援基盤の構築
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援
  • 介護予防ケアマネジメント
  • 総合相談支援
  • 高齢者などの虐待防止、早期発見、権利擁護

 地域密着型の介護サービスは、次のようなものが用意されています。

  • 地域密着型特定施設(29人以下)
  • 地域密着型介護老人福祉施設(29人以下)
  • 認知症高齢者専用デイサービス
  • 認知症高齢者グループホーム
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 夜間対応型訪問介

地域支援事業とは何か?

 地域支援事業は主に介護予防事業、包括的支援事業、任意事業の3事業に区分されますが、保険給付対象外の事業になります。

他には、市町村が母体となって、介護予防・日常生活支援総合事業も行われています。

介護予防事業とは

 介護保険加入者が要支援から要介護に状態が悪化しないように未然予防することを目的とした事業が介護予防事業になります。

2次予防事業について

 高齢者に対して要介護又は要支援のどの状態にあるかを厚生労働省規定の基本チェツクリストで確認し、介護予防が必要と判断した高齢者には、訪問型もしくは通所型の介護予防事業が行われます。

基本チェツクリストは質問項目が記載されている調査票で、2次予防事業の対象には要介護認定で非該当と判定された方も含まれます。

支援内容には、閉じこもり予防・支援、うつ予防、栄養改善、口腔機能向上、運動器機能向上などがあります。

支援妥当と市町村が判断した場合は、地域包括支援センターがケアプラン作成の受付窓口になります。

1次予防事業について

 地域介護予防活動支援事業・介護予防普及啓発事業は、2次予防事業対象外の高齢者に対して行われており、市町村が中心となって地元市民対象のボランティア推進活動や介護予防の啓発活動セミナーなどが支援の支援が行われています。

包括的支援事業とは

 包括的支援事業は、各地域で介護サービス事業者の協力体制構築、幅広い総合的な相談支援などの支援制度を構築することに注力している事業です。

また、市町村の地域包括支援センターでは、次のような事業が行われています。

  1. 介護予防ケアマネジメント:
    2次予防事業対象者や介護予防支援利用していない要支援者などの相談援助業務 
  2. 相談総合支援:
    介護保険制度以外の生活に関することも含めた総合的な相談業務
  3. 権利擁護:
    高齢者に対する虐待行為の事前発見・未然防止・解決を目指したり、成年後見制度の利用支援などを行う業務
  4. 継続・包括的ケアマネジメント支援:
    介護支援専門員の協力体制構築、質や能力アップの指導・アドバイス

任意事業とは

 任意事業では、在宅で介護を担っている家族に対して様々な支援を行うなど、各自治体の地域事情を勘案して市町村に合った独自の事業を展開しています。

介護予防・日常生活支援総合事業とは

 介護予防・日常生活支援総合事業は、地域支援事業の一つとして新たに設けられた事業です。

市町村各地域が秘めている潜在力を活かせるよう多様な社会資源や人材の活用により、要支援や非該当の高齢者であっても洩れなく行き届いた効果的なサービス提供を受けれるように、従来の規制に縛られない総合的なサービス提供を目指したものです。

介護予防・日常生活支援総合事業の特徴は、介護予防給付と介護予防事業を統合し、次のような生活支援サービスも含めて提供し、包括的・継続的に要支援者・2次予防事業対象者・一般高齢者を支援できるようにしたことです。

  • 地域ボランティア支援
  • 民間事業者支援サービス
  • 介護予防の自発的取り組み
  • 老人クラブ活動

 なお、以上のサービス支援を行うには、サービス内容をケアマネジメントし計画を策定して実施することと定められており、市町村で介護予防・日常生活支援総合事業サービスを提供している場合は、介護予防事業は行えない決まりになってます。

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