要介護状態を確認する訪問調査の実施内容

要介護認定の訪問調査の実施機関・担当者について

訪問調査するのは、どこの誰か?

 訪問調査を実施する主体は市町村になりますが、調査担当者が申請者宅へ直接出向くパターンは3通りあります。

要介護認定の初回認定の場合、原則、市町村職員(公務員)が訪問します。

2006年に設けられた指定市町村事務受託法人に訪問調査を委託することも可能です。

申請者が他の地域や、遠方で暮らしている時は、本人が暮らしている市町村に依頼することも可能です。

要介護認定の更新認定の場合、更新認定の申請者に対しては、厚生労働省令で規定されている地域包括支援センター、居宅介護や施設介護を行っている事業者、ケアマネジャーに依頼することも可能です。

 訪問調査を代行する団体やケアマネジャーは、立場上公務員扱いになり、守秘義務に関する法律が適用されます。

何に基いて訪問調査するのか?

 要介護認定の訪問調査の目的は、申請者の身体機能や心身の状態、生活状況を見極めるための実態調査になります。

訪問調査は介護保険認定調査票に基づいて実施され内容は、概況調査、基本調査、特記事項に大きく区分され細かく項目が定められたものを使用します。

概況調査の確認項目

 申請者の氏名、性別、生年月日、年齢、現住所、電話番号、家族などの連絡先、現在利用している介護サービスの状況などの基本情報について調べ記入します。

基本調査の確認項目

 次の3区分についての各項目を確認していきます。

  • 身体・生活・認知の機能や状態についての7区分の確認項目
  • 2週間以内に受けた医療に関する処置や対応内容についての12項目の確認事項
  • 日常生活における自立度合いに関する2項目の確認事項
特記事項の記載事項

 訪問調査している担当者が次の項目について判定しずらい時や補足して状況を説明することが必要だと判断した時に記入する欄です。

  • 身体機能・起居動作
  • 生活機能
  • 認知機能
  • 精神・行動障害
  • 社会生活への適応
  • 特別な医療
  • 日常生活自立度

ここでの記載内容は、2次判定の介護認定審査会での参考意見として活用されます。

要介護認定の訪問調査の実施内容について

申請者へのヒアリングで訪問調査は行われる

 訪問調査は、調査員1人で一回で完了できるように配慮して行われるのが基本です。

申請者宅に訪問した調査員は、概況調査として氏名・住所や現時点で受けている介護内容などに関して質問します。

次に、基本調査に記載されている確認項目に基いて、「立ち上げることはできるか?」、「座った姿勢を保てるか?」、などを質問し、申請者は、「自力でつかまらないでできる」、「何かにつかまればできる」、「自力ではできない」などから該当する回答を選択します。

申請者本人が回答できない状態にある時は、家族が代弁します。

また、質問は言葉によるやり取りだけでなく、実際に「立ち上がってみてください」「座ってみてください」などと、動作を直接確認する場合もあります。

訪問調査は家族も参加して協力することが重要

 訪問で申請者と直接会いヒアリング調査を行う場合は、いかに普段の生活状況を聞き出せるかがポイントになります。

申請者の中には緊張のあまり普段の自分を見せず、良く見せようとする方もいるからです。

やはり、毎日介護を行っている家族などが、いつもの生活の様子を正しく説明することが必要になるため、本人任せではなく調査に参加することが望ましいと言われています。

 認知症の方の場合は特に注意が必要で、質問されても意味がわからなかったり自分の思いや考えを正しく話せない場合もあります。

なので、認知症の度合いによっては、家族が本人に代わり状態や状況を説明し伝えることも必要になります。

 また、日々介護日記を付けておき、調査員に内容を確認してもらえるようにしておくことも大切です。

特記事項として追記してもらえば、より正確に判断してもらえるからです。

調査を受けている際は、質問や回答した内容を手帳などに記録しておくことも大切ですし、認定調査票のコピーを持っておくのも一つの方法です。

訪問調査を受ける際のポイントは?

 申請者の多くは高齢者になり、調査員とは初対面になるので、ヒアリング時に緊張したり、よく見られようという意識から、正確な状態や状況を聞き出しにくい場合も多くあります。

正確・適切に判断してもらえるようにするために、家族は下記の点について配慮することも必要です。

緊張しないように配慮する。
  • 質問されたことには正確に実情を伝えるようにする。
  • よそゆき着ではなく、いつもの服装で臨む。
  • 日々の介護内容を記録に残しておき、実情を把握してもらえるようにしておく。
  • 質問内容に対して家族の思っている答えと、申請者の答えにズレがある場合は、調査員にそのことを伝える。
  • 調査当日の様子と普段の様子が大きく違っている場合は、再調査要請する。
  • 申請者の認知症に関して家族に質問があった時は、当人の耳に入らないように注意し回答する。
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